朝4時を過ぎると、バタバタと起きて皆さん準備をしています。
同部屋の三人はもういません。

私達は8時に待ち合わせなので、ゆっくり起きて6時前に食堂へ
みりん干しは、顔を見てから焼いてくれますので、いい匂いがします。
しかしやはり食欲がありません。今朝もご飯は少しだけにしました。

隣の男性は、早朝に山頂に行ってきたそうで、
卵かけごはんで一杯目、おかわりしておかずと美味しそうに食べています。
何とも羨ましい限りです。
なんとか残さないようにとゆっくりと食べ切りました。
ダイヤモックスを半分飲んでおきます。

窓からは山頂の方まではっきり見えています。
しかし天気予報は午後からよくないようです。
この時間食事をしているのは私達を含めて5人だけ
   

外に出るとなんと槍ヶ岳まではっきりと見えています。 
 
 
ズームで
 

7時部屋を片付け、山荘の外のテーブルで、坊主さんの来るのを待つことにしました。
少し肌寒いので、ヤッケを着ます。
8時になってもやってきません。少し下がったところまで見に行きましたが見えません。
どうしたんだろう?お天気が悪いから登って来ないのかしら?

小雨がポツポツ降ってきたし、山頂付近もガス
これでは北薬師岳に行っても何も見えません。諦めて下ることにしました。

あとでわかったのですが、坊主さんは7時前に山荘まで来ていて
山荘の方に尋ねたら、「もう誰もいませんよ」と言われて、薬師岳山頂まで行ったようです。
その時私達はまだ部屋でいたのでした。「山荘の人に騙された~」と坊主さん

携帯へ電話もかけてくれたようですが、むらくもは電源を切っていたし、
私も節電の為機内モードにしていたのです。 

こうしてこの日は別行動となってしまったのでした。

むらくもが7時10分に山頂の撮影した時、登って行く人が見えます。
もしかしたら、坊主さんかもしれません。
 

8時4分薬師岳に別れを告げ、山荘を出発~
振り返るとガスってます。

薬師峠に向けて下って行きます。
   

ヤッケは暑いので脱ぎ、小雨が降っているので、ザックカバーをつけます。
お花を楽しみながら下ります。
   

薬師平手前までくると、雨が本降りになってきたので、急いで雨具を着ます。
その時下ってきた三人組の一人がお元気な方で
「登ってきたぜい!やったぜー!」といいながら、追い越して行きました。

9時5分薬師平から見上げると、登りで見えなかった避難小屋が見えます。
   
 
雪渓を過ぎ、シナノキンバイの咲くお花畑で見ていたら
荒れた石ゴロの沢筋に入るところで、女性の「キャーッ」という大声が聞こえました。

見るとあの元気な女性が石に躓いたかで足がもつれたのでしょうか、
ストック二本は宙に跳ね上がり、沢へ頭を下にして岩にぶつけ、岩に挟まるようにして倒れ込んでいました。
先頭を歩いていた男性が急いで助けに行来ますが、女性は身動きできない。
やがて抱きかかえられて起き上がった。

傍まで行って、「大丈夫ですか?」というと「大丈夫です」と言いながら笑っていましたが、
頭から被っていたカッパのキャップが破けて、少しですが血が滲んでいました。
受け答えもしっかりしてるしなによりも歩けたのでよかったと思いました。

「ゆっくり下ってください」と言って先に行かせてもらいました。
   
 
沢筋を滑らないように注意しながら下って行くと、しだいに雨も止んできました。
雨がやむと雨具を着たまま下ると蒸し暑い。
少し広くなったところで、脱ぎます。
   

9時49分薬師峠のキャンプ場まで下ってきました。
「坊主さん~」呼んでも返事がありません。留守のようです。
メモを置いて行くことにしました。「北ノ俣岳に行きます」と

休憩していると、転倒した女性も無事下ってきました。
折立まで下るそうです。お気をつけて」と見送りました。
   

10時3分太郎平小屋に向けて登り返します。

振り返ると薬師岳方面はガスが出ています。
   

10時20分頃に太郎平小屋に到着

すぐに宿泊の受付を済ませます。
明日は下山だけなので、お弁当は頼みません。一人1泊2食9200円

しかしまだ早いので、部屋には入れません。
そこで、必要なものだけをサブザックに入れて、後は小屋に預けて、北ノ俣岳に行くことにします。


太郎平小屋の横からなだらかな太郎山に続く道を登って行きます。
綺麗なウサギギクが咲いています。
   

10時51分 「薬師沢4.7km」への分岐です。
右の「黒部五郎岳9.6km」への木道を登って行きます。

小屋から10分程で太郎山分岐です。
むらくもが行こうとしていたのですが、お天気が悪いので、先に進むことにしました。
どうせ雨なら太郎山に行った方がよかったかも

この辺りもニッコウキスゲが咲いています。
   

歩きやすいなだらかな木道を辿って行くと、雪渓が見えます。

コバイケイソウの群生です。葉は沢山あるのですが花が見られません。
今年も裏年かもしれませんね。
ようやくガスの中に咲いているコバイケイソウの株を見つけました。(^O^)/
   

登山道沿いにはミヤマキンポウゲ、イワカガミ、イワイチョウ等
   

木道が続いていますが、ガスで先が見えません。 
 
 
小さな池塘が点在する草原に続く木道を歩いて行きます。
いい感じです。晴れた日にもう一度歩いてみたいですね。
 
  
ガスの中にワタスゲやエゾシオガマやイワイチョウ、ネバリノギラン、シナノオトギリetcのお花畑
小雨が降っていてゆっくり楽しめません。
 

黒部五郎岳からの登山者と次々とすれ違います。

登りになると、ガスが退いて景色が少し見えました。
   

ハイマツの登りになると、雨も本降りになってきたので
雨具を装着します。

ムシトリスミレが咲いています。
濡れながら撮影します。 
   
 

雨の中見える大きな雪渓とハクサンイチゲに感動
 
 
雨もだんだん激しく降ってきて、登山道も随分濡れてきました。
   

登山道の両側に広い草原状の台地に広がる
ハクサンイチゲのお花畑に「すごい~」の言葉しか出ません。
晴れていればどんなに素敵だろうとただただ残念です。 

一面のお花畑に
一眼カメラを雨の中で撮影するのは絶対ダメだとわかっていたけど
ちょっとだけとカメラを構え、シャッターを押すとガシャガシャガシャ変な音がしました。
こりゃダメだわ すぐにしまいましたがこれで動かなくなったようです。
もう少し注意を払っておけばよかったと後悔

ガスっていてどこが山頂だかわかりません。


その後はむらくもに悪いと思いながら、撮影を頼んでしまいました。 

山頂の方から下って来る単独の女性とすれ違います。
「お花畑綺麗ですね。あそこが山頂ですか?」
「多分あのなだらかなところだと思います。雷鳥に会いましたよ」と

13時5分神岡新道の分岐を右に分けて、最後の登りになります。
ハイマツとシャクナゲの混生するなだらかな道を少し登ると、
なんとところどころに咲き残りのハクサンシャクナゲ見ることができました。

雨でうな垂れていますが、やや淡紅色をした清楚な美しさがあります。
 

13時18分 平らな北ノ俣岳2662mにとうちょこ 
三等三角点 北俣嶽 2661.3m

雨も止まず、山頂は視界なし 
お天気が良ければ槍ケ岳や雲の平や
目の前に聳える黒部五郎岳の素晴らしい展望が望めるのに残念でなりません。
 

雨が降る中、遅い昼食です。
 薬師岳山荘のお弁当を食べようとした時、
黒部五郎岳のほうから登って来られた男性の三人組から
カメラのシャッターをお願いされました。

お弁当は美味しかったのですが、濡れながらなので、
味わう余裕はありません。急いでお茶で流し込みます。
食べ終わるとすぐに下山です。
   

雨が降っているのでどんどん下っていると、
登山道脇でいたホシガラスさんが驚いてバタバタと飛んで近くに下りました。
ガスって分かり難かったけれどむらくもがなんとか撮影することができました。 

池塘が点在する草原が見えるようになると、雨もあがったので雨具を脱ぎます。
   

また長い木道をひたすら歩きます。

後ろから山頂で出会った男性三人組がやってきています。
どうやら三人組のうちお一人が疲れているようでゆっくり歩いています。 
   

カメラが使えないのでどんどん歩いていたら、太郎山を過ぎてしまった。

登り返すのもしんどかったので、諦めて太郎平小屋へ 
宿泊の人たちは辺りでのんびり散策されていました。
15時28分太郎平小屋に到着
   

部屋へ案内されると二段ベットの下段に新潟のご夫婦との私達の4人です。

雨で濡れたものを乾燥室へ行くと
皆さんザックから小物に至るまですべて干している方もいてもう干し場がない程です。
それでも何とか詰めて置かせてもらった。

夕食は5時の案内で食堂に行きます。
今夜もトンカツです。山小屋のご主人が挨拶
ヘリで食材を運ぶようになってメニューが増えたとか
味付けも美味しいし、中高年にとって山小屋で食べれるのはありがたいですね。

その後、登山届を受理してくれた
若い警察官が山岳事故の近況を語ってくれた。

今年1月から6月までの半年でこの山域では28件の事故があり、
うちお一人の方が滑落死亡したそうです。

黒部五郎岳の下りで前日の雨で濡れた岩場で、
突いたストックを滑らして、体重を乗せ過ぎていてその弾みで150m滑落したとか
木道も濡れて滑りやすいので気をつけてくださいと

お話が終わると皆さん拍手をされました。
そして楽しそうにお食事をされています。

しかし私はまたまたここ標高2330mなのに、軽い頭痛と食欲がない
隣の女性はおかわりして美味しそうに食べているのを横目に
お箸がすすみません。
結局今回もトンカツもサラダもむらくもに手伝ってもらいました。

部屋に行き、すこし隣の方と雑談

今日、折立から登ってきたのだが、明日から4日間歩いて、
黒部五郎三俣蓮華-鷲羽-水晶-雲ノ平を周回したのち、折立へ下るという。

室堂から薬師岳への縦走の話など伺うことができました。

冷え〇〇を貼って横になるといつの間にか眠っていました。
   


 
❀北の俣岳までに咲いていた花

・ミヤマキンポウゲ         ・ワタスゲ         ・シナノオトギリ

・オンタデ          ・ヤマブキショウマ          ・テガタチドリ? 
 
   

下山へつづく 
   
   
   
   
   

     北ノ俣岳(上ノ岳) 2661.2m (富山県)    
 
第2日目 (8/1) 薬師岳山荘から太郎平小屋へ下り、北ノ俣岳へ